誰もいない幼稚園で

園長 東 晴也

12日(月)は「建国記念の日」の振替休日でした。幼稚園も保育室ももちろん休園です。でも、休園日にあわせて幼稚園に来て下さる方々がいらっしゃることをご存じでしょうか?
今日は、ピアノの調律師のHさんと植木屋さんのKさんでした。(もちろん園長も餌当番で出勤です笑)

園児の皆さんがいるとその元気な声でピアノの音程を正確に把握できませんし、また剪定(せんてい)した枝が高い所から落ちて危険なので、この方々は主に休園日に合わせて来て下さいます。

幼稚園にはピアノが園舎と親館合わせて合計6台もあります。それを丸2日間かけて丁寧に調律して下さいました。そして、園庭には太さ4cm以上の木が1000本あるので、その剪定は年間を通して大変な作業です。今回は、ソメイヨシノのツリーハウスの修復後のペンキ塗りもして下さいました。

休園中の幼稚園で働く人が何人もいる。これは学校経営上、大変だからそうしなくていいようにすることもできます。たとえば、ピアノではなく電子ピアノにすることもできるでしょう。園の樹木全て伐採してしまえば剪定作業や日々の落ち葉掃きはなくなります。また、ニワトリやクジャクを飼わなければ餌当番に来なくてもよくなります。このような課題は、園長としては葛藤です。園に関わる教職員やスタッフには休日にはしっかり休んでほしいし、余計な出費は抑えたい。ある意味、合理的な判断も可能です。

でも、幼稚園はそもそも学校です。学校の目的は、教育基本法によると「人間の育成」であり「人格の完成」です。そのために、「豊かな情操」を培い、「自然を大切に」する「態度を養う」ことが目標の一つと謳われています。つまり、ピアノの音色や園庭の四季折々の自然の美しさに感動したり、生き物のいとおしさや命のはかなさに思いを寄せたりする心が情操だとすれば、可能な限りその環境を整えることが大切なのですね。

お友だちと仲良くピアノを連弾する人、クジャクの脚を心配してくれる人、うさぎに毎日エサをもって来てくれる人、「芝生がかわいそう」だから三輪車で芝生の上を走らないと言ってくれる人……。ひかりの環境の中で、その人なりの優しさが確実に育っています。

(2024.2.12)

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。