「えんちょーせんせー、たすけてください!」

狭山ひかり幼稚園

園長  東 晴也

最近、年長のIさんが、よくお友だちを連れて、
「えんちょーせんせー、たすけてください!」
と言って、園長室に飛び込んでくることがあります。そのときのIさんは、目をまん丸にして、いつも慌てている様子なのです。きっと一大事なのだろうと思って、その場に駆け付けてみると、
「これ(大きなソフトブロック)を(ブロックの一番)上にのせてください!」と。
私が、そうしてあげると、
「これも……。」
そうすると、
「これも!」
こうして、大きなソフトブロックが保育室の天井まで到達すると、
「やったー!」と言って、お友だち数人とバンザイして飛び跳ねて喜ぶのです!

そして、今日もまた、
「えんちょーせんせー、たすけてください!」
と、同じようにお友だちと園長室に駆け込んで来るので、ついていくとホールの壁の高い所に、トンボがとまっているではありませんか!
「トンボ、とってください!」
すでに虫取り網を用意していた教員から、網をもらって、壁にとまっている大きなトンボが網から逃げないようにそーっと網を左右に揺らしながら、ホールの床に網を下して、子どもたちがトンボをよく見えるようにしました。
そこにいた子どもたちが集まってきて、トンボについて、語り始めます。
「触ってみたい!」「なに食べるのかな?」「トンボって、噛みつかれるといたいんだって!」などと、話しています。

 

私が以前勤めていた高校の生徒から教えられたことがあります。
「先生、人間にとって絶対必要な言葉って、何だと思いますか?」
私が、考えていると、その生徒はすぐに、
「それは、『ありがとう』と『ごめんなさい』と『愛しています』と『助けて下さい』の4つなんだって」と。
なるほどと思いました。人が生きていく上で、感謝を伝えること、謝ること、気持ちを伝えること、助けを乞うことは、生きていくために絶対に必要な言葉だよなと。

 

私はIさんに、突然助けを求められてすぐ行動したわけなのですが、そのことで、Iさんやそのお友だちの小さな願いが実現したのですね。
これは、「小さなことだけれども大きなことだな」と感心したのです。
いつも元気でなんでも自分でやってしまうIさんが、自分の限界を知り、勇気を出して他者に助けを求めることで、一人では出来ないことでもできるようになったということ。それは、「他者の力を借りることで、自分の可能性が無限に広がる」ことへの子どもたちなりの気づきがあったと思うのです。これこそ、幼児期の大切な体験(学び)なのだと思った出来事でした。

Iさんをはじめ、園児の皆さんが幼稚園での遊びをとおして、どんな気づきや成長があるか、本当に楽しみです!Iさん、私に声をかけてくれてどうもありがとう!(2025.5.15)

 

 

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。