安心できる居場所のあることが自己肯定感につながります

園長 東 晴也

私は狭山ひかり幼稚園に赴任するまで、長い間、高校の教師でした。高校教師であった私には、生徒たち一人ひとりと関わる上で、一つの大前提がありました。それは、
「高校は義務教育ではありません。君は自分でこの学校を選んで入学したんだよね」
というものです。特に、最初に就職した山形のK高校は、第一志望であることが入学の条件でした。

今、入園式が終わり、約2週間が経とうとしています。幼稚園児の場合は、おそらく保護者がどの園に入園させるかを決められたと思います。親が決めた幼稚園は、人生ではじめて通うことになる学校(文科省管轄)です。
わずか3歳の子どもが、自分の意志ではなく、親が決めた進学先としての幼稚園に、たった一人で、そこにいなければならない。そこで頼れる人は、保育者とそこにいるお友だちだけ。そのことを考えると、私は朝、園の玄関先で新入園児を迎える時、
「よく来たねー!えらいよー!」という気持ちになって、甘々の教師になってしまいます。

そんな年少さんたちがこの2週間で大きく変容(成長)しています!朝、ずっと泣いて園内に入れなかった人が、自分の好きなことを見つけて、さっとお母様の手を離れて園に入って来ることができたり、保育時間中ずっと泣いていた人が、泣く時間が明らかに少なくなったり。年少さんを見ていると、「社会(幼稚園)への適応力の高さ」を感じます。

今日のお帰りの時間、年少の二人が手をつないで座っているのを見つけました。保育者が手をつなぎましょう!と促したのではなく、おそらく自ら手を繋いだのでしょう。よく一人で泣いていたS君と寄り添っていたHさんです。今日は、その逆だったのかもしれません。その経緯は私には分かりませんが、なんとも穏やかな平和な気持ちにさせてくれました。

3歳児は人間関係が発達する時期です。友だちに関心をもち、気の合う友だちができ、人の役に立つこと喜ぶようになります。教師は、その様子をよく見て、評価し、褒めてあげると、子どもは安心して、自己表現するようになります。「私はここに居ていい」と思うことが、今、学校教育現場でもっとも重要視されている「自己肯定感」につながります。

ひかり幼稚園は君の居場所だよ。その安心感があってはじめて他者への関心が生まれ、他者へ寄り添うことが出来る。それが、「平和を創る」の出発点だと思うのです。そんな意味で、今年のひかりのテーマは、「ひかりは私の居場所」です。皆さん、一年間どうぞよろしくお願いいたします。(2024.4.18)

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。