給食はないのですか?

狭山ひかり幼稚園

給食はないのですか?子どもの偏食を直して欲しいし、学校給食にもなれて欲しいんです。毎日忙しいときに弁当を作るのは大変です。

A. お気持ちはよく分かります。よく「食事が人格を作る」と言われますが、食事は人格と身体の形成に極めて重要な役割を果たします。この重要性をどのように受け止め、実行するかが幼児教育の課題の一つです。

食事はまず楽しく団欒の中で取らなければ身に付かないという研究があります。いやいやながら食べては何にもなりません。もちろんこれは好きなものだけ食べなさいと言うのではありません。

幼児期の食事は、その分量も嗜好もスピードも全然違います。個人差が大きいのです。学校に行ったら否が応でも一斉に同じものを同じ時間内に食べることになりますから、せめて幼児期くらい子どものことをよく知り世界で一番愛している人が、子どもに合った分量と好みに合わせて作れないでしょうか。今日1割余の子どもが何らかのアレルギーを持っています。給食ではこれに対応できない場合があります。人命に関わる問題でもあります。好み、分量にしても実際に給食の食べ残しを見ると結構な量になっています。もったいないなあと思います。

食の世界はいま添加物、防腐剤、食品偽装表示、残留農薬、環境ホルモン、遺伝子組み換え食品、アレルギー物質などが次々に問題になっています。食のあり方は危機的状況だと言われます。近来行政においては民間委託が進んでいます。絶対に安全でしょうか。かけがえのない成長真っ盛りの子どもには親の愛情たっぷりの食事を与えたいものです。弁当は何より安く出来ます。

偏食は園で矯正したり、給食の力を借りて直すものではなく、それぞれが智恵を絞って個々に対応していくものと思ってください。

そうはいっても私たちは子どもの偏食や食べず嫌いがとても気になっています。そこで毎月「みんなで食べる日」を設定し、同じ物を食べたり、園で収穫したものをみんなで食べるなど模索しています。

さらに申し上げます。園は以上のような考えで弁当を続けてきました。しかし現実には就業する人、乳児や介護の必要な老人、病人を抱えている人、など弁当作りが負担になっている人があるのも事実です。

近年文部科学省、厚生労働省を中心に「食育」の重要性が叫ばれています。殊に放射能被害が憂慮される中でどのように子どもの健康を守っていくか、またお母さんたちの不安を取り除く必要も感じています。

7月末文科省が後援するあるNPOの会合に出かけてきました。中心テーマは「放射能被害からどのように子どもを守るか」でしたが、そこで病院における給食を担っている会社に出会い食事の内容を拝見しました。その会社は管理栄養士、栄養士のもとで安全な食品によって、園内で調理するシステムをとっています。暖かいものは暖かく、冷たいものは冷たく、見える食材によって、出来立ての食事を供するというのです。しかも容器は弁当箱ではなく陶器のお椀や皿を使います。

会社のスタッフを園に迎え話を聞いてみました。職員会もこの件について数回検討しました。いまは給食の回数、費用、設備などのハードルがあってまだ結論は出ていません。「検討中」であることだけをお知らせしておきたいと思います。