砂のアートが語っている

園長 東 晴也

 今日、幼稚園からあひるの家に行こうとして、園庭をまたいでいると、砂場の横の大きな木の作業台の上に、かわいい砂のアートを見つけました。バラエティー豊かな形状とやわらかい曲線でできたその山形の頂上には、青いどんぐりが丁寧にひとつずつ置かれていました。すぐ誰かのおままごとの跡だとわかりました。が、誰の作品かはわかりません。作品がきれいにていねいに並べられていて、作者(園児)納得の作品であることが見ている私にも伝わってきます。「まだ壊したくない。誰かに見てほしい」と、作者(たち)の声が聞こえてきそうです。

 きっと、「お父さん、今日のデザートは何にする?」「ショートケーキがいいな」「じゃあ今日はケーキの上に、緑のブドウをのせましょうね……」なんて、会話をはずませながら緑のどんぐりを乗せて、作ったに違いない。豊かな想像力が、この作品群から十分伝わってきます。

 幼児期における「おままごと」とは何だろう?その一面は、間違いなく「模倣」だろう。ご両親、ご兄姉たちのまねっこ。模倣する対象は、たぶん「あこがれ」だろうか。あんなふうにしてみたい。私にもできるかな。きっとできる。やってみよう、という期待や願いがあり、おままごとが生まれるではないか。そして、その模倣の背景にあるものは、「思いやり」や「優しさ」だと思う。こうしたら相手は喜ぶかな、嬉しいかな。こうしてあげたい。そんな温かな思いがあるような気がしてならない。

 私たち大人はいつからこうした「おままごと」をしなくなったのだろう。作者のいなくなった見事な砂のアートを見ながら、子どもたちの優しい眼差しを想像してみました。

 

 

*「園長!」の写真日記は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。