園長 東 晴也
今朝、いつものように玄関掃除をしていたら、年中のM君が慌てた様子で近づいて来て、
「くじゃくがたおれてるよ!」
と教えてくれました。このM君は、園内の非常事態をよく教えてくれるとても賢いお子さんです。「スズメバチがいる」とか「○○ちゃんがケガをした」とか、子どもでは解決できないことをきちんと大人に教えてくれる M 君。私は急いで長靴に履き替えてクジャク 小屋に向かいました。
「ぴーちゃん!」
声をかけると、もうすでに 頭が地面にくっついていて、動く気配がありません。
孔雀のオスのぴーちゃんは、何年か前から足が悪く、最近は特に自分の足でちゃんと歩くことができないので、ぴーちゃんだけのエサを別の器に入れて口元に持っていくことがよくありました。持って行くと、餌をたくさん食べるのですが、この日の前日は、私がいつものようにエサを差し出しても食べようとしませんでした。
孔雀小屋の中に入って、ぴーちゃんの体をそっと触ると、もうその体は冷たく固まっていて、目は閉じていました。小屋の外で心配そうに見つめる保育室の子どもと先生も今にも泣きそうです。
孔雀小屋からぴーちゃんの体を外に出すために持ち上げた時、意外なほど軽かったです。今から2年半くらい前、足の治療のために、東松山の動物病院に、I先生と一緒に行った時のぴーちゃんは、とても重かった記憶があります。思うように体が動かせず、思うようにご飯が食べられなくなったぴーちゃんは、目に見えなかったけれど、少しずつ衰弱していたのだろうと思います。
ぴーちゃんを小屋の外に出そうとしたまさにその時、メスの「みどり」(私がかってに名付けている首が緑色のメス)が大きな甲高い声で、
「コー、コー!」と叫びました。
今までずっと連れ添って、去年、卵を8個も抱卵していたみどりが、ピーちゃんが連れて行かれるのを心から悲しんでいるような鳴き声でした。
ぴーちゃんの体を大きな箱に入れて、しばらくピータールーム(職員室隣の部屋)に置いていると、花を手向ける先生や子どもたちの姿が……。
「どうして死んだの?」
と、質問をしてくる年少の子どもがいました。私は、
「もうおじいちゃんだからね」
と、言うしかなかったです。生き物はなぜ死ぬのかという生物学的な、あるいは哲学的な問いに対して、きちんと答えられない私の未熟さを痛感させられた瞬間でもありました。
この日の午後は、入院している理事長のリハビリ報告会があるため、午後には幼稚園を離れなければならず、先生方には動物の葬儀屋さんにお願いすることだけを頼んで病院に向かいました。
わくわくアート(保育時間内での美術造形教室)では、くじゃく(年長)組の子どもたちは、毎年春に、孔雀小屋にくじゃくを見に行った後、くじゃくを描きます。大抵の子どもたちは、きれいな羽を広げたオスの立派な姿を画用紙の中心に描きます。十数年にわたって、年長の絵画のモデルになって来たぴーちゃん。きっと子どもたちの目に焼き付いた姿で、子どもたちの記憶の中に、心の中に生き続けてくれると信じています。
ぴーちゃん、今まで本当にありがとう!(2026.5.8)
*今日、小学2年生の卒園生K君から「入院中の喜代雄先生にわたして」と頼まれたお手紙にもくじゃくのぴーちゃんの姿が描かれていました。
*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。





