白チャボ「ながの」のがーちゃん、今までありがとう!

狭山ひかり幼稚園

園長  東 晴也

長野県からやってきたオスの白チャボの3羽をひかりでは「ながの」と呼んでいました。園児からとても愛されていた3羽でした。それは、小さな頃から人の近くで育てられたようで、人間が近づいても逃げない、人を警戒しないため、たくさんの園児にだっこされてきた3羽でした。

その内の一羽が、この夏から園庭でよく転ぶようになりました。先生方は、足が悪いのでは?と心配していましたが、学期末の忙しさの中で、それどころではなく、夏休みになりました。ある日、I先生が目に涙をためて、ながのの窮状を私に訴えに来ました。私は重い腰をようやく上げて、I先生と市内の動物病院へ、ながのの「がーちゃん(E先生の命名)」を連れて行きました。

私には、以前、クジャクのピーちゃんを、鳥類専門の獣医師に診てもらったことがあるのですが、結局治らなかった苦い思い出があります。
「手術をすれば治るかもしれませんが、高齢なのでハイリスクです」
と言われ、結局痛み止めとビタミン剤を処方されただけでした。今回のながのもおそらく同じだと思って、通院には消極的でした。

診断は、意外にも「感染症による内耳の損傷」ということでした。足ではなく、耳が悪かったのです。真っ直ぐ歩けない。転んだら両足を上に向けたまま起き上がれないのは、そのためだったのです。

ながののガーちゃんは、ながのの3羽の中では、特に元気のよい鳥でした。以前、ながのが、クジャク小屋の隣のニワトリ小屋(今は碁石チャボの大家族が住んでいます)にいた時、朝、餌をあげるためにゲージを開けると、まず一目散で飛び出て来て、私の長靴に後からタックルしてくるのがこのガーちゃんでした。私の足にまとわりついて、こっちが転びそうになるくらい元気なチャボで、園庭で同じ白チャボのチャーリーと接近すると、ながのを代表してこのガーちゃんがチャーリーと闘うくらい気性の荒いところがありました。

そのガーちゃんが、どんどん元気がなくなり、体が細くなり、真夏の園庭でひっくり返って起き上がれなくなると、同じながのやチャーリーからもいじめられるようになりました。どのような種の掟?があるのかはわかりませんが、弱くなった個体に攻撃?するようになったのです。

そこで、ガーちゃんを他のチャボから離して、1羽だけで飼育するようにしました。先生方が心配して、かわるがわる薬をあげたり、大好きなニンジンを細かくしてあげてくれたり、猛暑日が続いたので近くに扇風機を置き、保冷剤をタオルで巻いてゲージの中に置いてくれたりしましたが、13日の早朝、私が見に行った時には、もう冷たくなっていました。

冒頭の写真は、ガーちゃんのお墓です。亡くなる前夜、ガーちゃんの様子を見に行ったときには、目は開けられないようでしたが、声には反応して口をパクパクするので、水を数滴口元に運んであげたのですが、飲み込むこともできない様子でした。これがガーちゃんとの最後のやりとりとなりました。

長々と書いてしまい申し訳ございません。ひかりにいる小動物たちはみな、ひかりの保育の目的のために飼育している動物たちです。ただのペットではありません。子どもたちが、生命の尊さに気づき、いたわって大切にすることで、心豊かな人間に育ってほしいからです。そういう意味において、「ガーちゃん、これまで本当にありがとう!」(2025.8.15)

 

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。