真夏の下見の山登り -満3才の一歩を考えながら-

狭山ひかり幼稚園

園長  東 晴也

ひかり幼稚園では、毎年秋に「山登り遠足」を行っています。隔年で、天覧山・多峰主山(標高271m、飯能市)と日和田山(標高305m、日高市)を交互に登っています。今年は、日和田山に行く番です。

今年のお正月、スーパーマーケットY店まで歩いていた時、I小学校の屋外掲示版に目がとまりました。普段は自転車で通り過ぎ、目に留まることなどまずないのですが、その時は違いました。その掲示版には、I小学校の地域にむけての活動報告としての新聞が貼られていたのです。私は何気なくぼーっと眺める中に、ふと目に入ってきた記事が、
「遠足報告……小学2年生は展覧山、3年生は日和田山に行って……」といった文言でした。私は一瞬、「えっ」と思いました。小学3年生と言えば9才。9才が登る山を、ひかり幼稚園では3才が登っているのか……。

たしかに、ひかりは「たくましい野性人」を育てると、『プランズ』(p6)に「実践的な教育の目標」として掲げてはあります。でも、それは、幼稚園に入園して、ひかりで過ごした園児の皆さんが、やがてそうなってほしいという目標であって、入園したばかりの3才児がいきなり「たくましい野性人」になれるわけではないと私は思うのです。

先日、終業日前の職員会議において、今年の山登り遠足の目的地が議論されました。当然、私は一昨年の反省をふり返りながら、このことを問題提起しました。私と事前打合せをしていた若い担当者は、比較的安全な提案をしてきました。それに対して、経験豊かな先生は、
「あの3才児たちなら大丈夫なのではないか……」
と、議論はなかなか結論には至りません。結局、この会議では結論は見送り、次回に持ち越すことになったのです。

その後、担当のE先生は、
「会議で山登りの場所を決める前に下見をしたいです」
と、言って来たのです。私は、その思いに共感し、私も下見に同行することにしました。当日は、なんとSスポーツクラブのS先生も一緒に行って下さることになりました。

それが、冒頭の写真です。「女坂」の中でも、最も険しい、傾斜のある場所を、ひとつひとつこりす組(満3才児)の歩き方や歩幅を想像しながら歩きました。ときどき、立ち止まって、
「ここ、Sちゃんは大丈夫か?」
「ここは段差が大きいから後ろから支えた方がいいな」
などと、話しながらの下見でした。

行って良かったです。一緒に行った若い先生たちの表情からも、不安がなくなっているようでした。

暑い日の下見登山でしたが、園児たち、特に小さな子どもたち一人ひとりの様子を思い浮かべながら、大丈夫か?を確認した山登りとなりました。

山登りに100%安全はありません。そう願うなら、家(幼稚園)から一歩も出ない生き方をするしかありません。でも、子どもたちの成長を願うとき、勇気をもって一歩踏み出すことが必要です。そのための準備をこれからも丁寧にしていきたいと思わされた夏の一日でした。(2025.7.30)

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。