園長 東 晴也
先日、来年2月に園内で公演予定の劇団KのAさんが、下見と打合せを兼ねて、来園されたときのことです。私は、いつものようにAさんを正面玄関からホールへご案内しようとしていたその時、預かり保育に入っていた年少のM君が、私に向かって、いつものように、
「えんちょー!」
と、笑顔で元気よく声をかけてくれたのです。その時、Aさんは、ちょっと驚いたように、「呼び捨て……」と言われたのです。そしてすぐ、「親近感のあらわれですね……」と、自らフォローされていたのですが、少し驚かれていたようではありました。
私はひかり幼稚園に赴任した当初から、子どもたちに「えんちょー」と呼ばれることが多く、その時には周囲にいる職員から「えんちょー、せんせいでしょ」と園児が優しくたしなめられることが多かったのですが、最近はほとんど気にもされなくなりました。
私は、以前勤務していた学校でも、生徒から「○○長」と校務分掌の肩書で呼ばれることがあったので、「えんちょー」と呼ばれても、特に何も感じなかったのです。でも、たしかに学校では、校長のことを児童生徒が「こうちょー」と呼ぶことは稀れです(一般企業・会社では、社長のことを「社長」と呼ぶようですが)。
私が「えんちょー」と子どもたちに言われても特に気にならない理由は、その呼称がどうこうではなく、その園児の私(園長)に対する思いや親しみがよく分かるからです。

今年の3月に卒園していったHさんは、私を「えんちょーくーん」と呼ぶお子さんでした。その呼び方の文字だけ見ると、それは明らかに年輩の教師に対する失礼な言いようなのですが、その時の満面の笑みや態度からは、私に対する親近感が溢れていて、表面的な呼称などどうでもいいと思えるのです。
このエッセイのタイトル「『園長!』の写真日記」も、当時、私がある園児に、「えんちょー!」と、元気な声で呼ばれたときの快感のようなものから名付けました。
最近おもしろいのは、私を「おとうさん」と呼んで、お腹にぬいぐるみを入れて園長室に遊びに来てくれるKさんとのごっこあそびです。
「おとうさん、ちょっとここ(シャツの中に入れたぬいぐるみを服の上から)さわって」
と言って、服の上から腹部に入れたぬいぐるみを私に触らせるのです。おそらく、担任の先生から聞いたクリスマスのお話から、自分がマリアになるごっこ(想像)あそびに発展したらしいのです。ということは、私はヨセフ? なんか嬉しいなぁ~。
ただのごっこ(想像)遊びなのですが、これが妊娠することとかマリアさまへの想像性や共感性、それを私と共有するということで社会性やコミュニケーション能力が育っていくのですね。
いつもみんなの遊びのなかまに入れてくれて、本当にありがとう!(2025.12.23)
*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日に
あった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。



